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第4章 ~敵は死人~
首相官邸に設けられた記者会見場には、普段の倍以上の記者達が所狭しと待機していた。会見場に入りきれない記者もおり、それでも何とか話を聞こうと、わずかな隙間からレコーダーを突っ込み、中の音が拾えるかを確認する記者もいる。
彼等の関心は、現在都内各所で発生している暴動についてであった。また、病院に安置されていた遺体が蘇生した事と、この暴動には何らかの関連性があるのではないかと疑う者も少なくなかった。
しかし、目下のところ最優先すべきは暴動の鎮圧である。既に多数の死傷者も出ているとの情報もあった。都内各地の警察署は音信普通。警視庁も暴動の標的になっているらしく、近づくことも出来ないとの話も記者達から出ていた 。そんな最中、高部首相が記者会見を行うとの連絡が入り、記者達は大挙官邸に押しかけてきたのだ。
会見場の前方、ステージ右のドアが開き、高部首相が姿を現すと、一斉にカメラのフラッシュが焚かれた。マイクの前に立った高部は、それを手で遮り、あからさまに不快な表情を見せた。
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