第4章 ~敵は死人~

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高部はすぐには答えず、目を閉じて2度3度と首を左右に曲げた。そして意を決した様に目を開くと、 「単刀直入に申し上げます。現在、東京都内において、同時多発的に各所で大規模な暴動が発生中です。既に民間人や鎮圧に当たる警察関係者に多数の死傷者が出ております。当該エリアについては、民間人や報道関係者の立ち入りを固く禁じております。これは、あまりにも現場が危険な状況の為であります。」 そこまで一気に話して、首相は言葉を切った。ペットボトルの水を口にして、再び記者団に向かう。 「ここからは、ハッキリ申し上げて、皆さんは理解出来ないかも知れません。信じる事も出来ないかも知れません。ですが、全てが真実であり、現在進行形の異常事態です。それをご理解頂いた上で、どうか適切な報道をお願いしたい。」 首相は再び言葉を切った。そして、ふぅーっと大きく息をはいた。 「既に一部ワイドショーで報道がされておりますが・・『東都医大』に運び込まれていた、ある事件の被害者の方々の遺体が・・その、突然蘇生するという事態が発生しました。昨夜未明の事です。」
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