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記者達は、一瞬呆気に取られた表情になった。メモを取る手も、PCのキーを打つ手も止まり、皆が高部首相に視線を集中させていた。異様な静寂が場を支配しようとした時、ようやく記者の1人が口を開いた。
「蘇生・・とおっしゃいましたか?総理?」
記者は確認する様に言った。
「そうです。死人が蘇ったのです。これはタチの悪い冗談でもないし、私が見た夢の話でもありません。」
質問した記者は「どうも」とだけ言うと、目をパチパチさせてイスに体を預けた。
「ここからは、帝都医大の松本教授と、国立感染研究所の浜田博士にお願いをしたい・・先生方、どうぞ。」
高部の紹介を受けて、傍に控えていた白衣姿の初老の男性と、淡いグレーのスーツ姿の中年女性が中央に進み出た。まず、白衣の男性が演壇に立った。
「あー・・帝都医大の松本です。まず、総理からもお話がありましたが、死体が蘇生したという・・これについては疑いようのない事実であります。なにせ、帝都医大においても同様の事態が起きておりますので・・ええ、私もこの目で見ましたから。」
淡々と松本教授は話した。それとは対照的に、会見場は喧騒に包まれた。
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