第4章 ~敵は死人~

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浜田博士は言葉を切り、記者達や首相ら一人ひとりに視線を移していく。水を打ったように会場は静まり返っていた。 「とは言え、仮にウィルスが原因としても、そのウィルスは一体どこから?感染経路は?宿主は?なにもわからない。でも、わかっていることもありますわ。感染者に傷を負わされた人間は程度にもよるけど、必ず感染者に仲間入りするわ。そして生きた人間を襲うようになる。」 浜田博士の声は会場の奥にいる人間にも、会場に入り切れずに外で待機する人間にも届いていた。 「頭部を破壊するしかないわ。倒す為には。それ以外へのダメージは無効よ。息の根を止めるには、脳を破壊するしかないの。例え、相手が親きょうだいや恋人、我が子であろうと・・ね。」 浜田博士はフンと鼻を鳴らすと、何か質問は?と記者達を見回した。 待っていたかの様に記者達が手を上げたり立ち上がったり、我先にと口を開いた。それをやや辟易した様な顔になりながら、浜田博士は丁寧に質問に答えていった。
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