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屋外の喧騒とは打って変わり、フロアは静まり返っている。
「・・・・・・」
土方は、ライフルを背中に回し、太もものホルスターから拳銃を抜いた。さほど広くない空間では、長さのあるライフルよりも拳銃の方が扱いやすい。一方の楠木は、SMG(サブマシンガン)を構え、先を行く土方を援護する態勢に入った。
ゆっくり歩を進めようとした時、廊下に倒れている死体が目に入った。うつ伏せでピクリとも動かない死体は警官だった。手には拳銃が握られたままで、上半身はハチの巣だった。
生死の確認も必要なしと判断したのか、土方はそのまま進む。楠木もそれに倣おうとした。
「・・・?」
だが、通りすぎる寸前に、彼女ら何か違和感を感じた。死体に目をやるがおかしなところはない。だが、何か引っかかるのだ。
(気のせい・・・か)
楠木は思考を打ち切り、現実に舞い戻った。土方が、何をモタモタしてるんだという目で楠木を見ていた。
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