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「なんなんだ、コイツ…!」
「ヤクでもやってんのか!?」
「おい、大丈夫か!?傷の手当てを」
隊員達のやり取りをぼんやりと聞きながら、楠木はもがく犯人に視線を集中させていた。明らかに普通ではない。薬物とも違う。何かは分からないが、何かが違う。楠木がそんな思考の渦で頭がいっぱいになっていた時だった。
パパパン!!
パパパン!!
小気味良い、リズミカルな音だった。だが、それが何を意味するかを、楠木も土方も瞬時に理解した。楠木はすぐ階下に向かおうと立ち上がった。だが、部屋を出ようとする2人の前に、ドアを塞ぐように1人の警官が立っていた。
「おい!邪魔だ!どきやがれ!」
土方がイラついて怒声を上げる。だが、警官はまるで反応しない。
「土方、待って・・・見て。」
「あぁ?何が・・・っ!?」
粗野な土方も楠木に言われて、さすがに絶句した。その警官は、上半身にいくつも銃痕があり、そこからドス黒い血がぬらぬらと妖しく光沢を放ちながら流れ出していた。そのせいか、顔は真っ青で口の端からも血が流れていた。乳白色に濁った目は異様なまでにギラギラしていた。
「ちょっと待てよ、コイツは・・」
土方が言い終わらないうちに、その警官は大きく口を開けて、土方に掴みかかってきた。
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