1人が本棚に入れています
本棚に追加
サンシャイン60前の公園にたどり着いた。
怪人達が現れた。
「ヒーー!」
そんな、カラムーチョ(楕円形)でも食べたかのような奇声をあげながら、襲いかかってくる気配の、ヒラヒラの服を着た女性タイプの怪人達が作る行列。
行列の端の女性タイプ怪人は「執事隊デビューコンサート チケット抽選列:最後尾」と書かれた鈍器(プラカード)を持っている。
(来やがったな! 悪の手下め!)
僕は足さばきを駆使して、女性タイプ怪人達の攻撃――主に、僕をdisってくる精神攻撃――をかわしながら前へと進み、すれ違いざまに、横腹を衝く様にライダーキックを繰り出す。
僕のライダーキック(スルー)が敵を討つ!
「ヒーー!」
カラームーチョ(短冊形)でも食べたかのような奇声を上げる気配の、女性タイプ怪人達。
敵の数も減った!
さっさとサンシャイン60にたどり着いて、スタバでキャラメル・フラペチーノを注文するんだ!
その時、敵のボスが現れた。
敵のボス(女性タイプ)も、なんと、仮面ライダーだった。
僕にはそれがわかる。
何故なら、僕も、敵のボスも、「仮面ライダースガオ」だからだ。
このボスも、バイクは持ってない。
大学の授業で、偶々隣だった時に、直接聞いて、確認してある。
素顔なのに「仮面」。
バイクも持っていないのに「ライダー」。
一見矛盾するかに思えるそんな仮面ライダーであることを、僕と、目の前のボスだけが気づいていた。
そして、激しく交錯する、2人の仮面ライダースガオの必殺技!
「ライダーキック!(LINEメッセージ)」
「へん――しん! とう!」
「ライダーキック!(LINEスタンプ)」
「ライダーキック!(爆笑)」
「ライダーキック!(スタンプ検索)」
「ライダーキック!(課金)」
「ライダーキック!(LINEスタンプ)」
「ライダーキック!(爆笑)」
必殺技の応酬により、僕ら2人の仮面ライダーの間には、奇妙な感情が芽生えていた。
互いの技の、そして、意思の激突。
戦いとは、いわば、コミュニケーションだ。
その中で、僕らはお互いを知る。
そして僕らの、渾身のライダーキック(キャラメル・フラペチーノ)が、互いの脳天を貫いた。
「頭いてー!」
「氷がキンキン来るね♪」
<了>
最初のコメントを投稿しよう!