第1話 僕には、バイクはいらない!

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 サンシャイン60前の公園にたどり着いた。  怪人達が現れた。 「ヒーー!」  そんな、カラムーチョ(楕円形)でも食べたかのような奇声をあげながら、襲いかかってくる気配の、ヒラヒラの服を着た女性タイプの怪人達が作る行列。  行列の端の女性タイプ怪人は「執事隊デビューコンサート チケット抽選列:最後尾」と書かれた鈍器(プラカード)を持っている。 (来やがったな! 悪の手下め!)  僕は足さばきを駆使して、女性タイプ怪人達の攻撃――主に、僕をdisってくる精神攻撃――をかわしながら前へと進み、すれ違いざまに、横腹を衝く様にライダーキックを繰り出す。  僕のライダーキック(スルー)が敵を討つ! 「ヒーー!」  カラームーチョ(短冊形)でも食べたかのような奇声を上げる気配の、女性タイプ怪人達。  敵の数も減った!   さっさとサンシャイン60にたどり着いて、スタバでキャラメル・フラペチーノを注文するんだ!  その時、敵のボスが現れた。  敵のボス(女性タイプ)も、なんと、仮面ライダーだった。  僕にはそれがわかる。  何故なら、僕も、敵のボスも、「仮面ライダースガオ」だからだ。  このボスも、バイクは持ってない。  大学の授業で、偶々隣だった時に、直接聞いて、確認してある。  素顔なのに「仮面」。  バイクも持っていないのに「ライダー」。  一見矛盾するかに思えるそんな仮面ライダーであることを、僕と、目の前のボスだけが気づいていた。  そして、激しく交錯する、2人の仮面ライダースガオの必殺技! 「ライダーキック!(LINEメッセージ)」 「へん――しん! とう!」 「ライダーキック!(LINEスタンプ)」 「ライダーキック!(爆笑)」 「ライダーキック!(スタンプ検索)」 「ライダーキック!(課金)」 「ライダーキック!(LINEスタンプ)」 「ライダーキック!(爆笑)」  必殺技の応酬により、僕ら2人の仮面ライダーの間には、奇妙な感情が芽生えていた。  互いの技の、そして、意思の激突。  戦いとは、いわば、コミュニケーションだ。  その中で、僕らはお互いを知る。  そして僕らの、渾身のライダーキック(キャラメル・フラペチーノ)が、互いの脳天を貫いた。 「頭いてー!」 「氷がキンキン来るね♪」 <了>
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加