プロローグ

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『次の日は会社に出てるな?出勤の途中にでも捨てたのか?』 「うーん……」 『それとも、会社の帰りに遠回りでもしたのか?』 妙だ……水上は反応しない。 勝ち誇ったみたいな顔をしている。 「斉藤さん、佐竹さんを呼んでくれませんか」 「えっ? せっかく捨てた時間を探ってるのにかい」 「後で説明します。水上の態度がどうしても気になるんです」   怪訝な表情を浮かべるけれど、斉藤さんは佐竹さんをメールで呼び出した。 「どうした? 相棒」 「水上の表情が気に入らないんです」 「もしかして、お前にも読めないって事か? 如月」 「いえ、そうじゃないんです。順番に時間を問われても、ずっと勝ち誇った顔してる」 「如月くん、説明してくれないかな」 「はい、斉藤さん。例えばですよ、質問が答え……水上にとっては不愉快な答えに近づけば、表情は焦る筈なんです。でも、あいつは少しも焦っていない」
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