プロローグ

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「まあ、その時は意味不明な事でも言って気を逸らしてみてください。感情が揺らいでる時の方がわかりやすいんで……佐竹さん、得意でしょ? そういうの怒らせるとかさ」 クッと二人が笑い、佐竹さんは舌打ちなんてしながら横を向いた。 「それにしても、たちの悪いコレクションだな」 三沢さんが、やるせない顔をして呟いた。 コレクション……人を刺殺した道具がコレクションだなんて趣味が悪すぎる。 コレクション?  妙に引っかかる言葉だった。 頭の中で血だらけのサバイバルナイフが並んでいる。 「行くぞ。ともかく、水上の行動範囲とナイフを保管出来そうな場所を推測する」 佐竹さんの言葉に、僕らは残っていた料理を急いで平らげた。 「水上のマンションが在る三鷹から、会社のある新宿までは中央本線で一本です。捨てたのでなければ、沿線の何処かに隠してるって事ですよね?途中下車する事も考えたら、駅のコインロッカーだって腐るほどあります」 三沢さんが広げた地図を指でなぞりながら呟く。 「片っ端から、考えられる保管場所を問い掛ける。その後で場所の詳細を探る……それで良いかい。如月くん」 「そうですね。斉藤さんの言う通り、そこから探らないとですね」 「ふむっ、コインロッカーに貸倉庫……他には何か思いつかないか?」
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