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「ねえ斉藤さん。じゃあ、どうして水上は防犯カメラに映ったの?」
斉藤さんが苦笑いして答えた。
「墓穴を掘ったんだ。水上が映ってた防犯カメラは、奴が起こしたOLの騒ぎのせいで近所の住人が新しく取り付けたばかりだったんだ」
用意周到、一つミスを犯したとはいえ簡単な場所にコレクションを隠す事はなさそうだ。
ヒントは、水上の表情にしかない。
ため息が出そうだ。
「苦労しそうな気がします……直接聞ければなんとかなる気もするんですが、間が空くと誤魔化されないとも限りません」
「そうか……おい、斉藤。ちょっと来い」
「はい?」
部屋の隅で、佐竹さんが斉藤さんに耳打ちをする。
嫌な感じだ。
斉藤さんが顔だけ振り返り、僕の頭の先から足元へ視線を流した。
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「ほお、まあそれっぽく見えるな。似合うぞ如月」
「あーはいはい。まったく……成人式以来だよ、スーツにネクタイなんて。髪まで切るなんて酷いよね」
「悪かったな、如月くん。さっき水上に顔見られてるからさ」
斉藤さんが申し訳なさそうに言う。
佐竹さんは愉快そうに笑っていた。
「良いか如月、この事は誰にも言うなよ。俺たち纏めて処分モンだからな」
三沢さんが部屋に居ないのは、水上を連れに行ったのだろう。
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