プロローグ

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「水上達也を連れて来ました」 付き添いの警官に見られないように壁際で後ろを向いて待つ。 キィっと小さな音とドアが閉まる音。 乗り気ににはなれないけれど、こんな事は早く終わらせたい。 水上は午前中と同じ様に室内に消えた。 「行くぞ、如月」 「はいはい、相棒さん」 「頼む、如月くん。最後のチャンスなんだ」 斉藤さんの声援なんか受けて、佐竹さんの後を追った。 ドアの閉まった室内は、思った以上に閉鎖的に感じる。 こんな場所でずっと黙秘するなんて、相当な神経の持ち主なのだろう。 きょろきょろしていると、佐竹さんが部屋の隅に座れと顎で合図する。 顔を捻れば、水上の横顔だけしか見えない。 まあ、いざとなれば正面に回るしかないだろう。 「不味い昼飯も。明日までだな、水上よ」 パソコンを叩く振りをして水上の表情を確認する。 勝ち誇った顔だ。 「おっ? しまったな、ちょっと昼飯を食いすぎた。おい、しばらく水上の話し相手になってくれ。すぐ戻るからな」 「ええっ? そう来ますか?」 「ああ、お前じゃ聴取は無理だろ。どうせ、こいつは何も話さん。適当に話し掛けてりゃいいさ。じゃあな」 「はぁ……困った人だなぁ」
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