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「兄弟?」「母親?」ビンゴだ!
水上が、初めて後悔の表情を浮かべた。
どうやら、こんな殺人鬼でも母親は特別なのだろう。
遣り切れない思いで、僕はゆっくりと質問をする。
「水上さん、チェックメイトだよ……お母さんは、こんな事知らないんだよね?」
もう、これ以上水上に聞くべき事は無かった。
後は僕の仕事ではない。
頭を机に付けて動かない水上を残して、部屋を出た。
「如月くん! 良くやった!」
斉藤さんが飛びつきそうな勢いで僕に近づいて、右手を差し出した。
まあ、感謝されるのは悪い気はしない。
佐竹さんは、水上が取り残された部屋に戻ってゆく。
僕はその姿を見ながら、斉藤さんと軽く握手をした。
「如月くん、疑って悪かったね。僕も、斉藤さんも君に何かあったら絶対に助けるから」
三沢さんも口元を緩めて僕の右手を両手で掴む。
それでも、二人の表情が焦っている。
そりゃそうだ、凶器の場所がはっきりしたのだ。
「斉藤さん、三沢さん。早く行ってください」
「わかった。ありがとう如月くん。三沢! 山形新幹線の時間調べろ!」
どうやら水上は、東北の実家へ凶器を送ったみたいだ。
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