プロローグ

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ムッとする熱気、背中には可笑しな形のビルがそびえていた。 妙な三角形のビル。言うまでもない、警視庁のビルだ。 「送るぞ、如月」 「良いですよ。忙しいでしょ? 佐竹さん」 「確かにな……」 「あー。お願いですから、当分呼びつけないでくださいよ。精神的にぐだぐだですから」 「そうだな。大学生らしくゆっくり夏休みを過ごせ」 ちっともわかっていない顔で笑う。 日比谷のビルまで走るのも悪くないだろう。 どうせ汗だくになっても、誰かを不快にさせやしないのだ。 ジーンズとTシャツ姿で皇居の堀沿いをワンブロック走り抜けた。 ピタピタに汗で張り付いたシャツも、バイクを飛ばせば乾くに違いない。 いっその事、人気のない南の離島か北の大地の端っこまで行ってみようか? そんな事を妄想しながら、焼けたシートに腰を落とす。   けど疲れた……今は、アパートに戻って深い眠りにつくのが一番だろう。   きっと目覚めれば、網戸を器用に開けて、ネコが「ニャっ」と鳴く筈だ。 <Microexpression> Prologue
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