エピソード・1

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出会いと言う言葉が相応しいのか分からないけれど、彼女に声を掛けたのは僕の方だった。 ネットの世界には色々なコミュニティーが在る。 有名人や他人を中傷する為に存在する巨大な掲示板や、実際の出会いを求めるSNSや、性的な指向やカルトや犯罪を誘発するコミュニティーや。 もっとも、それは現実の世界だって同じ事でネットが特別なわけじゃない事は君だって知っているだろう。   僕がみのりさんを見つけたのは、小説やら写真やらを投稿するサイトだった。 文字は嫌いじゃない。 特に、誰かに向けて感情をぶつける事のない小説のサイトは、僕にとって居心地が良かったのだ。 まあ、実際のところ、掲載されている小説の大半は荒削りだし読みかけの小説が突然更新されなくなる事もしょっちゅうだ。 当然だと思う。対価もなく書き綴るのは大変な事だろう。 みのりさんのページを訪れたのは偶然だ。 偶然といっても、サイトの中に現れる「お勧め」だとか「ピックアップ」だとかのリンクに飛ばされた結果だ。 そこに綴られていたのは小説ではなくて、日記みたいな物だった。 空の写真や、詩みたいな言葉が柔らかく綴られていた。 みのりさんのページを訪れる人は少なくて、毎日の更新がとぎれとぎれになってしまった時、思わずコメントをしたのが切っ掛けだった。
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