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「佐竹さん……君のお父さんは、僕の事をどう話した?」
佐竹さんの話は本当だろうけれど、僕はこれ以上厄介な人間関係を増やしたくない。
「はい、如月さんは内密にお父さん達のお仕事に協力してくださっている方だと……それから、絶対に如月さんの事や、如月さんがする事を他人に話すなと厳命されました」
「僕が出来る事はなんだと聞いた?」
「如月さんは、アメリカの大学でメンタリストの教育を受けたと……だから、あなたの前で嘘はつくなと言われました。協力して欲しければ、信用を失うな、と」
どうやら、僕の想像以上に彼女にくぎを刺していたみたいだ。
「えっと……まあ、そんな感じ」
アメリカの大学ってのは面倒な嘘だけれど、長い付き合いになるわけじゃない。
まあ、その辺は構わないだろう。
「みのりは、私の同級生です。最近は調子を崩して時々入院したりしてるんです」
妙な話だ。
入院する程体調が悪いなら、それは僕にどうこう出来る事じゃない。
僕に出来るのは他人の嘘をあばけるだけなのだ。
けれど、彼女の表情はその事に救いを求めている。
「ちょっと待ってくれないか?それなら医者の分野だし、僕に出来そうな事はないよ?」
そんな事はわかっている、表情がそう告げる。
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