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「ふーん。君……美咲ちゃんは、原因が病気じゃなくて何か理由があるって考えてるワケだ」
彼女は、少し戸惑ったみたいに僕の顔を覗く。
「如月さんって……」
「そうだね、別に君が考えてる事がわかるワケじゃない。今のはただの推測だよ」
「あの、ちょっと場所を変えませんか?」
僅かだけれど視線が周囲に流れるのは、話を聞かれる事を恐れているからだ。
しかし、同級生が体調を崩す理由がそれほど大事だなんて思えなかった。
「良いよ、出ようか」
「はい……」
「あー、バイクなんだよなぁ」
「如月さんのですか?」
「うん、まあ」
「あの……乗せて貰う事って出来ませんか?」
「いやっ……メットも無いし。その恰好じゃ無理だよ」
「そっか……残念だなぁ」
ワンピースの裾を両手で摘まんで、可笑しそうに笑う。
素直な子だ。
表情と言葉が伴っている。
佐竹さんの娘だと云う安心感もあるし、僕の事を上手く伝えてくれている事も気が楽な理由だろう。
「また、機会があれば……ね」
「本当! じゃあ、約束!」
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