エピソード・1

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「ふーん。君……美咲ちゃんは、原因が病気じゃなくて何か理由があるって考えてるワケだ」 彼女は、少し戸惑ったみたいに僕の顔を覗く。 「如月さんって……」 「そうだね、別に君が考えてる事がわかるワケじゃない。今のはただの推測だよ」 「あの、ちょっと場所を変えませんか?」 僅かだけれど視線が周囲に流れるのは、話を聞かれる事を恐れているからだ。 しかし、同級生が体調を崩す理由がそれほど大事だなんて思えなかった。 「良いよ、出ようか」 「はい……」 「あー、バイクなんだよなぁ」 「如月さんのですか?」 「うん、まあ」 「あの……乗せて貰う事って出来ませんか?」 「いやっ……メットも無いし。その恰好じゃ無理だよ」 「そっか……残念だなぁ」 ワンピースの裾を両手で摘まんで、可笑しそうに笑う。 素直な子だ。 表情と言葉が伴っている。 佐竹さんの娘だと云う安心感もあるし、僕の事を上手く伝えてくれている事も気が楽な理由だろう。 「また、機会があれば……ね」 「本当! じゃあ、約束!」
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