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煌びやかな都会の夜景をバックに、バイオリンとピアノの美しいデュエットが、ちりばめられた宝石の中を転がるように流れていく。里桜たちがレストランに入ったときには、すでにライブ演奏は始まっていた。
クラッシックのみならず、ジャズやポップスのカバー、時には聴いたことのないアップテンポでノリの良いナンバーも演奏される。
自分たちのオリジナルナンバーなのだろうか。堅苦しいところがなく、むしろ非常に心地良い。この高級感あふれるラウンジレストランの落ち着いた雰囲気にもぴったりと合っていた。
「里桜。俺たちの知っていることをちゃんと話すから、よーく聞け」
長男の崇が、今まで一度も見せたことのないような真剣な眼差しで里桜を見つめた。次男の裕もグッと目に力を込めると、里桜と視線を合わせて大きく頷く。
兄二人のただならぬ態度に、里桜はピキッと姿勢を正した。
「おっす」
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