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雨の季節が来ていた。
その日も雨が降っていた。
恵美は午後6時に退社すると、傘をさしながら、地下鉄に向かって歩いていた。
すると、雄太も傘をさし、会社に向かって歩道を歩いて来た。
彼は営業からの帰りだった。
彼に気がついた恵美は、せつなく見つめた。
胸に、彼への想いがこみ上げていた。
すれ違うとき、彼は言った。
「帰るところ?」
「ええ、お先に失礼します」
「お疲れ様、さようなら」と彼が言った。
しばらく歩いて、彼は振り向いた。
「ちょっと、待って」と彼は言った。
彼女は振り向いた。
彼は彼女に近づいた。
「昨日、木田亜子さんに会った」と彼は言った。
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