第4章   本当の気持ち

5/6
前へ
/22ページ
次へ
「待って、待てよ」 彼は走って来ると、彼女の前に立った。 「これ、この間君のバックから落ちたものだ」 彼は背広の内ポケットから、一枚のチケットを取り出した。 彼女は声を失った。 カミーユ・クローデルの美術展のチケットだった。 「これだけは返さないで、ずっと持っていた」と彼が言った。 彼の表情は真剣だった。 「メールに書いていたよね。カミーユ・クローデルのこと・・」 雨が強くなっていた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加