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新緑が、その葉ごと透けるように、陽ざしを感じさせていた。
ビルの谷間に存在する小さな自然。
木陰のベンチで、野々村恵美はランチを食べていた。
「毎日、ここでランチ?」
と彼女に声をかけたのは、同じ部署で働く吉田雄太だった。
「ええ、この頃こうしているの。気持ちがいいから」と彼女はこたえた。
彼は営業から戻って来たのだ。
「ランチにはいい場所だね」と彼は微笑んで言うと、オフィスのあるビルに向かって歩きだした。
彼の後ろ姿を見ながら、彼女は思った。
私の気持ちなんて気づいていないだろうな。
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