第1章    憧れの彼

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ある日のことだった。 彼女はいつものようにベンチに座り、ランチを食べていた。 風が気持ちよく緑の葉をゆらし、光が交差していた。 「私もここで、食べていい?」 木田亜子がそう言うと、恵美の隣に座った。 木田亜子は、やはり同じ部署で働く、一般職の女性だった。 亜子は快活で、ある意味わがままな性格だった。 でも、恵美とは良好な関係を保っていた。 「今日は気持ちがいいわ」と恵美が言った。 「本当ね。いい季節になったわ」と亜子が言った。 「あのね。恵美、昨日いいことがあったの」 「なにが?」 「昨日ね。私、吉田雄太さんとデートしたの」
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