1532人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「……」
私だったらこうはいかないだろうな。
頭の中でお姫様と自分を差し替えて、今度は違う種類の溜め息を吐いた。
「柚葵?」
一点を見つめて立ち尽くす私に気がついた環ちゃんが、顔を覗き込みながら声をかける。
「何してんだよ。置いてくぞ、ゆず」
それに気がついた善ちゃんが私を急かす。
「……うん」
環ちゃんが私の視線を追いかける前に
「ごめんね。行こう」
ヘラッと笑って、二人の手を取った。
お姫様と腕を組み、高級エステサロンに入っていった騎士が私達に気がついたかどうかは分からなかった。
最初のコメントを投稿しよう!