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(私が現実を見えていない頭の中がお花畑いっぱいの子供だとでも言うのかしら)
セシルは自室で着替えをしながら帰路の途中でライバル兼、親友ことミリアに言われたことを思い出していた。
女学院指定の制服を近くのソファーへ脱ぎ捨て全身まで見える鏡の前に立ち、下着姿のまま少し体を捻ってみる。
片方の肩を前に傾け、やや前屈みになり控えめな胸のチラリズムを加え、最大限のセクシーさを強調する様にポーズを取った。
「ミリアには少し負けるけど、まぁまぁよね」
学院の大浴場で一度、自分とミリアの胸の大きさを比べる為に、悪戯で後ろから抱きついてみたことがある。
その際、どさくさに紛れてミリアの胸に手を当てるだけのはずが思わず揉んでしまい、それが相当嫌だったのだろう。
それ以来、風呂場では警戒されるようになってしまった。
なので、現在のミリアの成長度合いはわからないが、その当時、手から伝わる心地よい柔らかさと指から少し溢れる乳房の衝撃で、無意識に揉みしだいてしまったとは口が裂けても言えない。
そんなこともあり、セシルは凹凸のある大人の女性に憧れはするものの、高望みせず自分磨きをすると心に決めたのだ。
その甲斐あって、卒業する頃には学院での優秀な成績や実力と合間って、同期や後輩たちからは美少女と囁かれるようになり、見た目への自信が身についていた。
「ベクトルの方向が違うけど、これはこれでありかしら」
ミリアはクローゼットからいくつか服を引っ張り出した中の一つを体へ押し当て、鏡越しに写る自分の姿を見て呟いた。
白い無地のブラウスに薄い桃色のスカートを器用に持ち、着た時をイメージして体に合わせて微調整する。
美人と言うよりも美少女よりの外見を持つセシルには、可愛らしさと清楚な部分が調和する組み合わせとなっていた。
その後、角度を変えてみたり、別の服を合わせたりして悩んでいると、自室のドアを叩く音が三回ほど鳴った。
突然の音にセシルは跳ね上がるように驚いた後、急いで振り返り、ドアに対して正面になるように立ち位置を変える。
そして、持っている服たちを大きな盾代わりに身を隠した。
「セシルよ、ずいぶん時間がかかっているが、準備はまだできないのかい?もし準備ができていたら、部屋に入れてくれ」
ドア越しに聞こえる声がセシルの父、バルト・コーデリアのものと分かるとセシルはドアの入り口をキッっと睨んだ。
「お父様、今部屋に入ってきたら、魔法でドアごと吹き飛ばすわよ!」
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