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ニャニャフィの誤算
「鈴ちゃんの彼氏だけど、あと15分で死んでしまうんだよねー」
「嘘…でしょ…」
佐久間 鈴は、いろんな意味でその言葉をもらした。
目の前には、妙に馴れ馴れしい口調のうさぎかネコかわからないぬいぐるみのような物体。鈴の鞄には、この物体と同じ形状の小さなニャニャフィちゃんがぶら下がっている…、はずだったが、今は見当たらない。どうやら目の前の物体が鞄にぶら下がっていたものらしい。ちなみに現在の大きさは、鈴より頭ひとつ以上でかい。
「ニャニャフィちゃん…なの? え、唯斗が死ぬって、どういうこと?」
いきなりそんなものが、目の前に現れただけでもかなりの体験だと思うのだが、さらに鈴の彼氏である、十倉 唯斗がもうすぐ死ぬというから、なおさら意味がわからない。
「嘘じゃないんだよー。彼氏はさ、鈴ちゃんと約束した時間に遅れそうで、自転車を猛烈に飛ばしてるんだよねー。もうちょいで、かえで坂の上まで来て、そこから全速力で駆け下りてきちゃって、そのとき悲しいかなブレーキが焼き切れてしまうんだよねー…」
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