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光洋学園。
俺が通うこの高校では"陸上部"の生徒が行方不明となり、さらには今も病院で寝たままの人とが居るという、そんな噂がある。
何故陸上部なのか、どうして行方不明となったのかその真相は分からない。
けれど、そんなことは関係なくただ陸上部が好きで俺はこの学校に入学した。
陸上の王者みたいな、そんな感じのこの学校に憧れて…。
*
「ひーかるくん、お疲れ様!」
茜色に染まった空、だんだんと空が蒼く移り行くと同時に練習終わり、俺のところへと数枚のタオルといつかの水筒をぶら下げ屈託のない笑顔を浮かばせて駆け寄って来る先輩でマネージャー。
名前は中嶋 優歌、先輩。
俺のことが可愛い可愛いと構ってくる変な先輩。
「お疲れ様です、中嶋先輩。真っ先に俺のところへ来るなんて先輩ってほんとに暇人っすね」
内心は嬉しい。
女性の先輩からこんな風に来られるのはどうかと思ったりはするが、自分が好意を寄せている人だと、特に。
素直に喜んで見せて、嬉しがる顔もみたいがそんな性格に育てられたわけもなくこんな憎まれ口しか叩くことが出来ないが、こんなことで怒るような先輩ではないのでそれに甘えてしまっている。
そうして彼女の気持ちを無下にしないために受け取ると恨めしそうな声が直ぐ後ろから聞こえた。
「おーい、前野。何先にもらってるんだよ?此処は年功序列で、俺らからだろ、中嶋?」
そこに邪魔者登場。
汗を滴らせながら爽やか笑顔の無駄に女子から歓声がわくようなこの人は自分が何も喋らなくてももらえるのにもらってくるのは片手で数えられるくらい。
そりゃ、実力もあるから当然なのだけれど。
高跳び専門、陸上部部長の白峰 鞍馬先輩。
そしてその隣に佇んでいる短距離専門の副部長、芦田 研先輩はふるふると震えて俺に指差しながら軽く睨み付けてから、口を開く。
「光!お、お前!う、うううう羨ましい…!!」
「先輩、そんなどもってると変な人だと思われますよ、ほんとにダサいっすね」
想像はつくだろう。
研先輩は中嶋先輩に恋している。
だから、俺を目の敵にする。
まぁ、それにちょっと面白いなとかバカだと思ってしまったからこのような風に失礼なこと言えるんだけど。
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