プロローグ

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「優里、優里?」 そう娘の名前を呼んで、探し回ってどれだけたっただろう。 幼稚園児から小学生になりかけの時期の子供というのは、厄介だ。 好奇心旺盛で、じっとしていちゃくれない。 絶対に離れるな。 そう言い聞かせても、気を抜くと何処かに消えてしまっている。 あれくらいの子供は、世の中のことを知らないから仕方ない。 例えば世の中は悪人で溢れているだとか、人さらいがいるだとか。 むしろ、絶対にするなと言われたらしたくなる年頃なんだ。 あれくらいの時期って。 だから小さい子供に向かって「絶対にコンロやガスを触っちゃダメ」とか言っちゃいけない。 嬉々として親がいない間に触りに行く。 善悪がわかっているようでわかっていない時期の子供は……どうしようもない。 世の育児をこなす父親や母親は凄い。 こんなことを思っているけど、子供に罪はない。 目を離した親が……つまり私が悪いんだ。
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