始まりとしての青

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電車に揺られながらおもむろに窓の外を見ると、きらきらと春の陽気を受けながら光る海が広がっていた。 季節的にはまだ少し早いのにサーファーたちの姿も見える。 電車から見えるこの景色が好きだ。この高校を選んだのもこの景色が一つの理由だった。 桜が咲く春の陽気に青年は一つ伸びをすると勢いよく電車を降りた。 まだ入学式の2時間前なのだから、当然降りる人も少ない。その陽気とは裏腹に寂しい駅のホームを少しのんびりと大股で真新しいローファーを鳴しながら改札口を通ると慣れたように真っ直ぐにあるところへと向かう。 もう何度この場所へ来ただろう。小さい頃からここの海のこの場所が一番のお気に入りだった。 海に沿った国道が大きく右側に曲がる角の先にある、穴場的な場所。 まだ下ろしたての制服のズボンなので少し迷ったが、結局はいつものように砂浜に腰を下ろす。 心地よい風が日に焼けていない、男にしては随分と肌の白い頬を撫で、塩の香りが鼻をくすぐる。 かなりの時間海の前にいたので、もう一度大きく伸びをして立ち上がろうとすると、同い年だろうか、制服を来た女の子が立っていた。潮風に揺れる少し茶色がかったきれいなショートヘアが印象的な可愛らしい顔をした娘だった。 「海は好きなの?」 「あぁ」 「私も好き。なんだかまっさらな気持ちで向き合えるから。」 「女の子は日に焼けるから嫌いだと思ってたよ」 「まぁね」   「それじゃ また後でね」 と女の子は背を向けて国道の方へと歩き出す。その後ろ姿をぼぅと見ながら、自分も入学式に遅れないようにズボンの砂を払って足早に歩を進めた。      
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