社会壮年期の終わり

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 なんの前ぶれもなく、ある日、近所のオッサンが消える。次の日は、居酒屋を支配するオッサンが消えた。そうやって次から次へとオッサンが消えていった。  国会からはむくつけきオッサンが消え、満員電車からは嫌らしい目つきのオッサンが消え、職場では忌々しいオッサンが消え、やがて全世界からオッサンが消えてしまった。  そして、わたしの彼氏も。 「嘘……でしょ……」 「いやいや。あの人はどう見てもオッサンですよ、先輩」  消え入りそうなわたしの肩を気安く叩き、新人が去っていく。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!