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なんの前ぶれもなく、ある日、近所のオッサンが消える。次の日は、居酒屋を支配するオッサンが消えた。そうやって次から次へとオッサンが消えていった。
国会からはむくつけきオッサンが消え、満員電車からは嫌らしい目つきのオッサンが消え、職場では忌々しいオッサンが消え、やがて全世界からオッサンが消えてしまった。
そして、わたしの彼氏も。
「嘘……でしょ……」
「いやいや。あの人はどう見てもオッサンですよ、先輩」
消え入りそうなわたしの肩を気安く叩き、新人が去っていく。
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