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「だって、警戒されるかもしれないじゃない……」
「それで、警戒するなら、それだけの男ってことよ」
「ーー。ナナって、初恋もまだなのに、最もなこと言うよね……」
「ユウが恋愛下手なだけよ!」
「酷いなー」
恋してるわよっ!あんたに!
「フードコート混んできたね。目的の店、行こうか」
目的の店……。
それは、洋服店。
一見、私の服を選んでいるようだが、悠太郎が一番楽しんでいたりする。
「これどう?」
「まだ、着替えてるから!」
「あら、いい感じじゃない?」
この男ーー!
まだ、半分しか着てないのに!
私の半裸は、一億はするわよ!
「「ガガッ、キーン」」
「キャ!何?やだ怖い!ナナっ!」
咄嗟に、「キャ!」なんて悲鳴をあげられるあんたの方が怖いわよ。
「大丈夫よ。放送機器の故障じゃ……
「「ガガッ、このデパートは、我々に因って占拠された。全員、十分以内に二階フードコートに集まれ。もし、十分後に他の場所で見つけたら、撃ち殺すぞ」」
電子音の男の声が館内に響く。
「ナナ、早く着替えて!」
「ちょ、ユウ!どうすんの!」
「いいから、ついて来て!」
「フードコート、行かないと……」という言葉はあまりの剣幕に打ち消された。
このデパートは三階建てだ。
地下は、駐車場。一階は、食品コーナー。
二階は、フードコート、ゲームセンター。
三階は、洋服店やアクセサリーショップが立ち並ぶ。
そして、夏場、屋上のプールに入ることができる。
昼間は、子供向けプール、夕方からはお洒落なオープンレストランになる。
このような工夫があるから、創業して長い月日が経っても人気があるのだろう。
地域に愛され、親しまれるデパートなのだ。
「ユウ、どこ行くの?大丈夫なの?」
「大丈夫よ。考えはあるわ。とりあえず、ナナは警察を呼んで」
「わ、わかった」
私達は、二階の女子トイレに隠れた。
きっと、見廻りが来て見つかり、殺されるんだわ……。
なんて、最悪な考えが頭をよぎる 。
それより、非常事態とはいえ、悠太郎は女子トイレ入っても大丈夫なのだろうか。
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