3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、ナナ……。色仕掛け、できる?」
「え?色仕掛け?できないこともないわよ?」
色仕掛けって!
何させる気なのよー!
変なこと言うから、疑問形で返しちゃったじゃない!
したことないのに、どうしよう……。
悠太郎はゲイだから、効かないと思ってしてこなかったし……。
「じゃあ、見廻りが来たら、対応してね」
「そんな対応って、どうすればいいの?殺されない?」
「そうねぇ……。『トイレの鍵が開かなくて、出れないの。助けて?』みたいに、言ってみたら?ナナは可愛いから、イケるわよ!」
「イケるって……、確かに私は可愛いけど、そんな簡単にいかないわよ」
悠太郎、私のこと可愛いって思ってたのね。
可愛いのは事実だけど、この状況で言われても喜べない!
「ユウはどうするのよ」
「隙をみて、社長室に行く。ここの社長室の金庫に、大金があるって聞いたことがあるから、奴等の目的がそれなら、そこにいけば解決できると思うわ」
「途中で見つかるかもしれないのに、そう簡単に行けないわよ。それに、相手は何持ってるかわからないじゃない」
「あ、見廻りが来た!出番だ!頼んだよ」
「えっ!ちょっと……!」
どうしよう……。
言われたようにやるか……。
あぁぁ……。
どうか神様、仏様、私たちを無事に返してください!
「おい。誰かいるのか?」
今だ!頑張れ!ナナ!
「あのぅ!トイレの鍵が開かなくなっちゃって、助けてくださぁぃ……」
ぶりっ子ボイスで、話しかける。
我ながら、小文字気持ち悪い。
最初のコメントを投稿しよう!