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「いや、動画のせいと決めるのは早すぎる。繋がっているせいで妙な音が鳴っているのかもしれないぞ」
このまま変人以外の変な奴がいるという結論は避けたい桜太が言った。それにいくら異常事態とはいえ、可能性を検証せずに結論を出すのはよくない。
「繋がっているから?なるほど」
これで伝わったのは莉音だけだった。最初から周波数を問題にしていただけに、考えがこちらに傾いていたらしい。
「どういうことだ?」
今一つ納得できない亜塔が質問する。
「だから、水位の変化で音が鳴っているかもしれないってことです。よくコーラとかの瓶にちょっとだけ水を入れて息を吹くと音がするじゃないですか。あれがトイレの排水管で起きているかもしれないです」
桜太が身近な例を使って説明する。
「ああ。あの隙間風のような音か。たしかに水は存在するし、排水管のどこかに穴があれば可能だな」
これは面白くなってきたと亜塔も食いついた。
「そうか。繋がっているから音が鳴る。これって共鳴振動が起きているかもしれないな」
やる気のなかった優我も可能性を思いついて復活した。これでいつもの科学部らしい検証に戻る。
「共鳴振動というなら、排水管に悪影響を与えているかもしれない。緩む原因になって、それが隙間を作って空気を送り込んでいるのかも」
桜太も色々と考え始めた。しかし今の状態では情報が少なすぎる。
「おおい。片付けたよ。また俺を放置して盛り上がってるだろ?」
そこに白衣を着てゴム手袋を嵌め、さらにマスクをした林田が戻ってきた。どうやら掃除で汚れる可能性を考えての完全防備のつもりらしい。しかしもさもさの天然パーマのせいで、怪しい実験をしていた科学者そのものだ。
「よし。もう一度ちゃんと情報を集めよう」
林田を労うことなく、桜太はラッキーとそう号令を掛けていた。
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