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「そうか、読めたぞ。俺は自室から出ず、息を潜めて存在の不証明責任を果たせばいいのだな」
「兄さんに自分が存在しないことを証明するなんていう、悪魔の証明を押し付けるつもりはないわ」
「ふむ、愚兄検定の有資格者たる俺には、皆目検討がつかんな」
「兄さんに賢弟はいませんし、履歴書に書くだけで品性を疑われるような資格も存在しません。実は私には、眉目秀麗で才気煥発な兄がいる設定になっているの」
「お前の兄は、雰囲気だけなら芥川賞作家という、褒めているのか貶しているのかわからない風貌と気質を持つ男だぞ」
「兄さんの趣味は弓道で、光陰のような矢を放つと言ってあるわ」
「妹よ、月日が経つのが早いという意のことわざが、強力な異能力のようになっているぞ」
「その博識たるや、釈迦に説法を説ける唯一の人間」
「お前の兄は、娑婆で説教される程度の人間だ」
「さあ兄さん、私の敬愛する賢兄として、思う存分リア充どもに脅威を与えて頂戴」
「嘘……だろ……」
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