He swore vengeance on the man.

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男は辺りをぐるりと見回してから、目の前の背中を見た。 青年があれから一言も発していないことが、じわじわと男の不安を煽っていた。 ついては来たものの、辺りはどこもかしこも延び放題の雑草や枯木ばかり。人の気配などどこにも感じられないのだ。 男が口を開こうとしたその時、急に青年が振り返った。 「さ、着きましたよ」 どう見たって道の途中、というようなその場所に男は眉をひそめる。 「着いたって……誰もいないじゃないか」 すると青年は地面を指差しながら、言葉を続けた。 「ちゃんといるでしょ……ここに」 「うわぁっ!」 男は思わず叫び声を上げた。 青年が指差した先には所々骨が見え、あちこち腐乱した人間の遺体があったのだ。 あまりのことに言葉を失う男とは対照的に、青年はちぎれた腕を持ち上げるとにっこりと笑った。 「それにしてもひどいなー先生。忘れちゃうなんて」 「なっ、何を……」 青年は男に向き直ると、顔にかかった髪をかき上げた。 露になったその顔に男は息をのむ。 顔の右半分が焼けただれたように赤く腫れ上がり、閉じたままの右目の下で眼球がかすかに動いている。 「あんたが殺したんだろ。……なぁ、せんせ?」 「俺が?……そんなまさか」 彼の左目が、ぎょろりと動いてこちらを睨みつけた。 「へぇ、墓場まで持ってくってか?さすがやり手の弁護士様は一味違う」 「だから本当に……っ!」 口をついて出た自分の言葉に感じた少しの違和感。 所謂デジャブというやつだろうか、どうしてかやけに耳に残ったその台詞がぐるぐると頭の中を回り始めた時。 絡まった結び目が解けていくように、点が線になるように、その違和感は確信へと姿を変えていく。
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