act.1 The encounter of the destiny ―運命の出逢い―

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裕福な子息たちの集まる、エリート集団の学園風景は、正にハイソサエティーの集まりだと言えよう。  まだ未成年ながら、既に成熟した大人の男を彷彿とさせる体躯、立ち振る舞いから受け応え、全てにおいてが他に類を見ない、エグゼクティブ集団なのである。    そんな紳士然とした彼らが催す学園祭は、全国切っての超人気学祭として名を馳せ、毎年一般参加者もトップの入場入りだ。   参加者は、学園校章が刻印された、指定入場チケットを必要とする。  入手経路は、学園関係者と生徒の家族や知人への配布、それと生徒が販売するプレミア・チケットを入手するのが定則である。 ――プレミア・チケット。  これが毎年、波乱を呼ぶことで有名なのだが、もはや翡翠ヶ丘学園の風物詩と言っても過言ではない。    波乱、闘争、執念。  三位一体とも言うべき三つの慣用句。この時期の女性とは、切っても切り離せないものである。    多くの玉の輿を狙う女性たちの口コミや、独自のネットワークを駆使して情報を掴む執念には、恐れ入るものがある。  なにしろ、下手なディティクティブよりも、正確であるからだ。 公然と広がった、学園の知名度。  セレブリティー子息たちとの交流を図る、卓越した女性たちの努力は叡智を極め、プレミア・チケット入手の為には、手段を選ばない者が後を絶たない。
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