4 永久契約

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 6戦目:10月の親父の誕生日にスコットランドの高級ウィスキー持参。もちろん圭のチョイス。わざと瓶をむき出しにして親父の手に握らすと『こんなものっ』と上に振り上げ,浩二さんに瓶を握り締められて止められる。親父がほっとしてたのが俺にもわかった。後で親父が家族に隠れてちびちび飲んでいたと, 浩二さんから報告を受けた。  7戦目:クリスマス・イブにサンタ& トナカイのコスプレで訪問。子供ら,親父とお袋にくま○ンのおそろいセーターをプレゼントしたら,親父が顔を真っ赤にして怒りまくったので退散。後日,孫とおそろいセーターを着てショッピングに行ったと,姉ちゃんから報告を受けた。  8戦目:年始のあいさつ。子供らと親父とお袋にお年玉を渡した。親父は俺からお年玉をもらうなんて考えたこともなかっただろう,事態を理解できずにいた。お袋が隣で『勇翔からお年玉を貰うなんて…夢みたい』と泣き出すのを聞いて慌てだした。『こんなものいらん! お前からお年玉なんて…,俺を年寄り扱いするな』と下駄箱の上にあった盛り塩を掴み,俺たちに塩を撒き始めたので惨敗。  休戦中:2月の圭の誕生日を漏らしてしまい,二人きりで過ごそうとした夜に,山中の女子供が来訪。圭に贈り物を渡し食料を持ち込み一緒に飲み食いして行った。帰り際に,子供らが圭のほっぺにチューしてて,どさくさに紛れてお袋と姉ちゃんもチューしてたから,翌年の誕生日はレストランを予約してディナーだと固く決心した。  9戦目:ひな祭り。子供らにひし餅ケーキ,親父に一升瓶のどぶろくを進呈。一瞬親父の目が輝いたが,すぐに三白眼に戻り『帰れ』と一言。子供らが俺と圭の手を握り『ケーキ食べよう』と言ってくれたが,親父が許さず退散。俺たちが帰ったあとすぐに,親父が浩二さんとどぶろくで酒盛りしたことは姉ちゃんから報告を受けた。  10戦目:子どもの日に子供らにはケーキ,親父には…『魔界への誘い』。 庭の鯉のぼりのポール下で子供らと遊んでいたら,親父に竹ぼうきで追い立てられ惨敗。俺らがいなくなるとすぐに浩二さんと酒盛り,はいつも通り。浩二さんが『勇翔君たちと飲みたいですねぇ』と言うと,親父はしばらく下を向いていたと,お袋から報告があった。 
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