輝と圭

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 切羽詰まった言い方になったことを,圭は自分で驚いた。それから柔らかな言い方を取り戻そうとした。 「このままではあなたもいずれ後悔します。どうか,勇翔がゲイであることも含めて受け止めてください…」  輝は壁から圭に視線を戻した。険しい表情は消えて,さらに感情そのものが無くなっていた。 「勇翔はあんたをどんなふうに抱く?」 「…えっ?」  圭には思いもしなかった問いかけだった。 「あんたのことを,女みたいに抱くのか?」  ものすごく驚いた。しかし輝には野卑なものは一切感じられなかった。そんなことを問う輝に対して嫌悪感が生まれなかった。  この人は本当にそれが知りたかったんだ,と圭は悟った。高校生だった時のいくつかの逸話を聞いて,輝と勇翔は知らずに惹かれ合ったのだろう,そう理解していた。そのことを輝が意識した時には,勇翔はもう女の子と付き合いだしていたのだろう。輝は勇翔に心を持って行かれたまま取り残されたのだ,独りで。  二人が,もし,そういう関係になっていたら,どんなふうに心を通わせていたのか, 自分がどんなふうに勇翔と抱き合っていただろうか,知りたいのだ。知らないままでは,くすぶり続ける勇翔への想いを葬ることができないのだろう。  圭は,勇翔がどうやって男を,この俺を抱くのか,答えてやらなければならない, と思った。努力して言葉を取り出した。 「…勇翔は,とても優しい。ものすごく俺のことを思い遣ってくれるのがわかる」  口にしてから,こんな抽象的なことじゃない,と思った。圭はしばらく唇を強く噛んだ。その間,輝はずっと感情の無いまま圭を見ている。  圭が再び口を開いた。 「勇翔は俺のことをとても上手に抱く,と思います。優しいけれど同時に激しい。最中にキスもたくさんしてくれるし,俺の感じる所を覚えてものすごく気持ち良くしてくれる。俺を先にイかせて,それから俺の中で果てる。…最後に俺を抱きしめて,愛している,って言います,必ず…」  じっと圭を見ていた輝が,無表情のままかすかに首を傾けた。 「あんたがそう仕込んだんだろ。ゲイのやり方を一からあいつに教えてやったんだろ?」 「俺は確かにゲイだったけど,俺にとって勇翔は初めての男で…」 「お互い男とするのは初めてだったっていうのか?」
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