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ラグナ達を倒して私が酒場に戻ると、インテリはまだ同じテーブルで、あの美しい女性と酒を飲んでいた。
私は想像する。
ラグナ達三人は私をあの狭い路地裏で待ち伏せた。
つまり、インテリは自分の事を嗅ぎ回る私の存在に気づいてはいる。
しかし、あの路地裏に大勢の子分を配置してはいなかった。という事は、今日にでも私を見つけ出して始末したいとまでは思っていない……
だから、この後、私が酒場を出たインテリの後をつけても罠が待ち伏せている可能性は低いはず……と思いたいが……
私が考えていると、インテリがテーブルを立った。
そして女性と二人で店を出て行く。
私はしばらく店に残り、店内の様子を伺った。怪しいと思える人物がチラホラといる。
想像では、最初に仲間を三人連れて店に入って来て、その三人を先に帰したのは……インテリを狙う人物を安心させる為のカモフラージュだ。
そして今度は、インテリ本人が一人で店を出る。そして店内には数人の子分を残して置く。
私がノコノコとインテリについて店を出れば店内に残った子分が私を追い、取り囲んで始末する……という訳だろう。
よし、行くか。
私は席を立った。
そしてお手洗いに向かう。荷物は全部テーブルに置いたままだ。荷物と言っても私の荷物はスマホと長巻だけである。スマホを置いていく訳にはいかないので、長巻を置いて行く。
そして酒場のお手洗いから裏に抜け出した。そこには予備の長巻が置いてあるのだ。
私は予備の長巻を引っ掴むとインテリの歩いて行った方向に走る。
女性と同伴だ。そう速くは移動出来ないだろう。
しばらく走ると私はインテリに追い付いた。
私の予想通り、インテリは私がラグナを倒した場所に向かっている。
もう仲間はやられているとも知らず、私をそこに誘き寄せるつもりなのだろう。
夜の道をインテリは静かに歩く。
私はその遠く後ろを隠れながら歩いた。
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