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「ホントにするの?」
いつもいつも往生際の悪い私。
本当はしたくてたまらないのに。
間違いなく、桃川くんには気づかれてる。
それが建前だってことぐらい。
彼はニヤッと笑って、
「もっちろん。だって、したいもん」
と言う。
彼は本当にうまい。
私がじゃなくて、自分がということだけをいつも主張する。
そんな風に言えば、私が素直に従うことをわかっている。
私はうつむいた。
「巻きま~す」
私の目の前が遮断され、後頭部で結び目を作られる。
「とりあえず目隠しだけね」
耳元で囁かれる。
目隠しをしていない時以上に感じてしまう。
体はビクつき、「ぃやっ」と小さい声が洩れてしまった。
「すごいね。今からそんなに感じてたら、すごいことになるね」
依然、耳元で喋られて、すでにおかしくなってしまいそう。
どうしようもなく体がよじれてしまう。
「やっ」
毛布が剥がされ、私は前屈みになる。
覆いかぶさるようにして後ろから抱きしめられた。
視覚がまったく遮られているため、気配すら感じることが難しい。
大袈裟なほどにビクついてしまう。
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