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大きなもみの木に飾り付けられた色とりどりのイルミネーション。
商店のいたるところに、かわいらしいデコレーション。
街に流れるリズミカルな音楽。
行き交う人々の表情も暖かい。
街はクリスマスムード一色。
人々の中でも、特に恋人たちの笑顔が痛い。
みんな、明日に迫ったクリスマスイヴを待ち望んでいるんだろう。
駅前の賑やかな街並みから逃げるように帰宅した。
冷え切った真っ暗な部屋。
独り暮らしのアパートは心までも凍てつかせてしまいそう。
こんな時、隣にいてほしいあの人のことを嫌でも考えてしまう。
『23日から伊豆の温泉に行くんだぁ』
あのコが友達に嬉しそうにノロケてたっけ。
彼女は悪くない。
悪いのは私。
こんな恋を選んだのは他でもない私。
あのコは立派な被害者。
なのに、ついついあのコを憎らしく思う。
あの笑顔が翳ってしまえばいいのに、なんて不埒な思いが私の中に巣食う。
寒くてエアコンの下で丸まっていると、バッグに入っていたスマホが存在を知らせるように私を呼ぶ。
思わずあの人からかと思い、一瞬期待してしまうけれど。
その思いははかなく散る。
そして、同時に咲く戸惑いの華。
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