私は彼に食べられる

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「アカネちゃん、好きだよ」 肌と肌が触れ合いながら好きだと囁かれると、少しだけ自分の気持ちがわからなくなる。 あの人を好きな気持ちが翳って、私の好きな人は目の前の桃川くんなのかもしれないと思ってしまう。 この錯覚が覚めなければいい。 このまま抱かれ、好きな人が桃川くんで恋人が桃川くんになればいい。 彼が私の中に入ってきた。 中に入ってくる感覚はやっぱり、あの人とは違う。 どこがどうだなんてきちんと説明するのは難しいけれど。 目をつぶったままだけれど、今日は、彼はそれに対してなにも言わない。 ゆっくりと、彼が動き始めた。 「あああ……」 気持ちがいい。 彼の息遣い、卑猥な音、私の喘ぎ声。 本能を揺さぶられる。 人が何故セックスに溺れるのか、わかった気がする。 こないだと同じように、しばらくして彼は対面座位をとり、ぎゅっと私を抱きしめてくれる。 「気持ちい?」 耳元で囁かれ、私の心身は震えた。 濃厚なキスを与えられ、私はいつのまにか自分のほうから積極的に舌を絡めてる。 もっともっと、と、カラダがココロが快楽を求めてる。 「ふぅ、ん……」 「アカネちゃん、かわいい」 本当に? 本当に? 本当に、私はかわいいの? 彼に突かれながら、ずっと心の中で問い掛けていた。
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