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翌朝まで飽くことなく、私たちは抱き合っていた。
きっとこれから先も飽くことはない。
私のココロの中央に、あの人が居座り続ける限り。
明け方近くになって、桃川くんは帰っていった。
二度寝をしようとベッドに入ったものの、かすかに薫る情事の匂いと彼の残り香が胸を焦がす。
ずっと彼の中でうとうととまどろんでいた心地よさと、ずっと彼の中で狂い咲いていた淫らな気持ちよさとが胸を締め付け、気が狂いそうになる。
そして、目に入るスマホがそんな私を叱責するかのように存在している。
私はベッドから出て窓を開け、外気を取り込んだ。
冷たい朝の空気が心身を冷やしていく。
部屋の匂いも少しずつ変わっていき、後ろめたさも薄まっていくよう。
あの人からはあの後から連絡はない。
私とあの人の関係なんて所詮そんなもの。
いつもいつも私ばかりが追いかけている。
シャワーを浴び、色んなものを洗い流していく。
このまま全てを水に流せてしまえばいいのに。
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