織姫と彦星

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毎回毎回。どうしてこの広い祭り会場であの人を探さないといけないのだろう。 見渡すばかり、人。人。人。 神社までの大通りの道沿いには、様々な出店があり、そのどれもが、大いに賑わっている。 僕の気分はその賑わいとは裏腹に少し沈み気味である。 しかし、3年ぶりのチャンスなのだ。 見つけ出すしかない! 僕はあの人が居そうな場所を片っ端からあたり始めた。 …4年前に会った時は何故か、神社の鳥居の上に居たんだよね。 我ながらよく見つけたものだ。 あの人は良くも悪くも自由気まま。言ってみれば猫みたいなものだ。 興味津々で、気まぐれにあっちこっちに行ってしまう。 しかも、ここは祭り会場。 なかなか場所が絞れないのだ。 そのため、僕は歩みを進めながら頭を悩ませていた。 祭りが終わるまで後少し。 笑顔で声を掛けられたのはその時だった。 「おりちゃん!みーつけた!」
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