第1話

準備は大事

　信太山駐屯地を有する大阪府の自治体の一つ、和泉市。その和泉市に隣接する自治体に堺市がある。
　全国で二十の市が有し大阪府内で二つある政令指定都市の一つである。所謂大都市と呼ばれるものの一つだ。
　のだが、それは巨大化以前の話であり。巨大化後となった現在では、大都市と呼ばれる都市は大阪府内だけで二つも増えて合計四市となっている。
　もっとも、日本全体で言えば政令指定都市は巨大化前よりも倍近くも増えているので別段おかしなことはないと言える。
　更に付け加えれば、巨大化した後の東京大都市圏は、もはやメガシティと言うよりもギガシティと称される様なとんでもない怪物都市になっているのだから可愛いものである。

　さて、巨大後そんなメガシティの一翼を担う事となった堺市の市政の中心、本館と二つの高層館を有する巨大な堺市役所。
　その堺市役所の玄関口とも言える公共交通機関の施設の一つに堺東駅と言う駅が存在している。
　巨大化前はそこまで大きな駅ではなかったが、巨大化した後の現在では巨大化前の大阪駅に匹敵するほどの巨大な駅へと変貌を遂げていた。

　建て替え工事が進む隣接の巨大駅ビル、堺東ステーションジョルノ。
　それを抜け八車線になる府道を渡り堺駅前商店街へと目を向ける。様々なテナントが入り賑わいを見せる商店街の一角、そこにイタリア料理の飲食店が存在していた。
　時間が御昼どきと言う事もあり、近隣の駅ビルや官庁街からやって来たであろうスーツ姿の御客で店は大盛況であった。

　そんな中で、一組のお客がリーズナブルな価格の美味しいイタリア料理を堪能しながら、週末の予定について話に花を咲かせていた。