準備は大事

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 午後の仕事も終わり、本日の業務を終了すると身支度を整えて一路帰路へとつく。  途中最寄りのスーパーに立ち寄るとそこで夕食のチルド食品を購入し、再び自宅を目指して歩き続ける。  堺東駅から歩く事三十分、自宅であるアパートへと到着すると、明かりの消えている一つの部屋の前までやって来る。 「ただいま」  返事が返ってこない事は分かってはいるがそれでも習慣として声を掛けながら、鍵を開けた部屋へと入っていく。  家賃もそこそこ、日当たりもそこそこ、部屋の大きさもそこそこなこのアパートの一室こそ、藤田が現在暮している自宅であった。 「ふ~、疲れた」  買ってきたスーパーの袋をテーブルに置くと、肩の荷を降ろすべく早速部屋着に着替え始める。  もうすぐ五月も終わり六月になろうかという季節ではあるが、今年はまだ長袖でも快適に過ごせる気温だ。 「いただきます」  着替えを終えると次は夕食の用意だ。と言っても、買ってきたチルド食品を電子レンジで温めて食器に盛るだけなのだが。  あっという間に準備は終わり、いよいよ夕食の時間を迎える。 「いやいやなんでぇなぁ! そらおかしいやろ!」  独り暮らしには丁度良い大きさの薄型テレビ、そこに映し出される番組を観ながら藤田は淡々と食事を進める。  一人なのだから特に会話が繰り広げられる事もなく、淡々と食事を終えた藤田はテレビを消し流し台で使った食器を洗い終え水切りラックに置くと、食後の自由時間を堪能し始める。
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