第1話

準備は大事

　もはや学生の頃に習った筈の歴史の陰など微塵も感じさせない文字が連なり続けている。
　しかもこれらは、彼らが勝手に脳内で妄想したものを垂れ流し書いている訳ではなく、彼らの記憶の一部を忠実に書き綴っているのだ。
　ただ単に巨大化したのならば、過去に遡って歴史まで変わる事はないだろう。しかし、現実は影も形も無い筈の歴史が人々の記憶として残っている。
　更に言えば、自衛隊がステルス機や空母と言った巨大化以前に保有していない筈のものまで現れている。

　この事から、国内の学者の一部では今回の出来事はただ単に巨大化し人や物などが増えたなどと言う次元ではなく、並行世界との融合を果たしたのではないかとの説を唱える者も出ている。