始まり始まり

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「では。先ず旗艦能力を有するDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)についてですが、ヒュウガクラスと称される艦級はヘリコプター運用のみならずスキー・ジャンプ甲板を有し一種の軽空母としても運用できる多目的艦へと変貌しています。また、ニミッツクラスには及ばないものの、六万トンクラスの中型空母、DCV(航空護衛艦)と呼ばれる艦も存在しており。これはカガクラスと称される艦級との事です」 「それらのクラスで運用される艦載機の機種は?」 「はい。ヒュウガクラスに関しましては艦の大きさからハリアーⅡクラスの機種が。カガクラスに関しましてはスーパーホーネットが運用されていると」  例によって、これらの航空機に関してもいつの間にか既に手続きは終わっており。もはや賠償金はふんだくれそうにない。 「また他の戦闘艦に関してですが、イージス艦については十六隻、駆逐艦……あ、いえ、汎用護衛艦でしたか。が九十隻以上。その他水上艦艇も多数あり。また、原子力潜水艦は有していないと思われますが潜水艦だけでも推定四十隻以上は保有していると」  大統領首席補佐官から告げられる報告の数々を聞いた面々は、一様に複雑な表情を浮かべている。  今のところ核兵器を持ったとの報告はなく、またその心配も杞憂に終わりそうではあるが。それでも、天下無敵のアメリカ海軍に匹敵はしないものの自己完結できる有力な海軍力が太平洋を挟んだ隣国に突如として現れたのだ。  万が一にも事を構えれば、勝てはするだろうが無傷とまではいかないだろうし、空母の一隻や二隻失う事も覚悟せねばならないかも知れない。  無論、そんな心配は無用ではあろう。一応日本とは同盟国なのだし。  そもそも、現在その脅威を増しつつある日本を挟んだ国中国の事を考えれば、むしろこの突然の変化は大いに心強い事であろう。
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