さくらの散る頃に

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目の前に白いワンピースを着た女性が立っていた。 頭にはでかい麦わら帽子で顔は分からない。 でも・・・ 女性はなにも言わず俺に近づき、俺の横に座った。 俺もつられて座った。 俺は素直に女性の方が見れなかった。 だってもう亡くなったはずのあの人がいるわけない。 そんなドラマみたいなことがあるはずなんて・・・ 「きれいだね」 「え?」 女性の方をみると桜を眺めていた。 俺が頷くと、女性は俺の方をみた。 そしていつもの笑顔で「ごめんね」といった。 「・・・え」 俺はその言葉に戸惑ってしまった。 なんで謝るの?なんで俺の前から消えたの?なんで・・・なんで・・・俺は言葉に出来なかった。 「最後に会えてよかった」 再度笑みを浮かべ俺の頬に手をつけた。 「今までありがとう」 「・・・俺の方こそ・・・ありがとうねぇ最後にさもう一度だけもう一度だけ言ってほしい。おかえりって」 あなたは笑顔を崩さず俺の方こそをみて「おかえり」と言ってくれた。 そして何事もなかったかのように消えた。 俺はまたその場で泣き崩れた。
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