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そして、観察をするようになると、恋人がいる事が解った。
初めは、悪戯をするつもりでまどかに近づいた。
会社に来るたびにまどかに話しかけては気を引こうとした。
しかし、まどかは気のない返事しか返さない。
眼中にないのだから仕方ない。
それでも岡野はあきらめなかった。
何かに付けてまどかに言い寄る。
そうしていくうちに、岡野はまどかを好きになっていく。
やがては、吉野健二からまどかを奪う事を考える様になる。
岡野は自分の上司の立場を利用して、吉田を僻地へと飛ばすことにした。
まどかは、吉田が僻地へと移動になる事に疑問を抱きながらも吉田に言う。
「ねえ、健二さん、私もついていきたいわ。一緒に連れてって」吉田は首を横に振る。
「かなり遠いしな。まどかに苦労を掛けたくはないんだ」と断る。
まどかは不思議だった。
この年で長く付き合っていれば、当然結婚と言う二文字を言ってくれると思っていたからだ。
だが吉田はまどかにプロポーズすることなく、まどかの前から姿を消すことになった。
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