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「大和」
ハッとして声のする方を見ると、美弥さんが僕を見上げていた。
1秒、2秒…
僕たちは黙って見つめ合う。
この沈黙は、続いて欲しくない沈黙だ。
苦しくて、重い。
「聞いてないよ」
口を開いたのは、僕の方。
「うん。部活ちゃんとやってるかなーと思ったけど、いつも通りだねぇ。」
ふふ、と肩をすくめて笑う。
大人びて可愛いその笑い方が好きだ。
でも、そうじゃない。
「なんか、相変わらずだなーと思ったよ。あの会話の感じとか」
「いつから」
聞きたいのは、そうじゃない。
「いつから考えてたの。抜けること」
また、沈黙が来ると思っていた。
「今年の春だよ」
そう、即答された。
迷いのない眼差しで、即答した。
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